猫の強制給餌の一回の量は?体重別の目安と注意点

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食べられない猫に強制給餌をするとき、最も迷うのが一回の量と回数の決め方です。
与え過ぎは吐き戻しや誤嚥のリスクを高め、少な過ぎると栄養不足が長引いて回復を遅らせます。
本記事では、体重別のカロリー計算とミリリットル換算、食品の濃度による違い、回数と間隔の組み方、病気別の注意点、安全な手技までを体系的に解説します。
計算式の具体例と実践のコツを併記し、はじめてでも迷わず安全に進められるよう丁寧にまとめました。

目次

猫の強制給餌で一回の量の決め方

一回の量は体重と栄養密度、猫の体調、与える回数をもとに決めます。
最初は目標量の25〜33%から開始し、吐き気や下痢がないことを確認しながら2〜3日で50〜66%、4〜5日で100%を目指すのが基本です。
急に満量を与えると胃拡張や吐出を招きやすいため避けます。

一回の量の基本原則

一回の量は猫が安全に飲み込める小分け量の積み上げで考えます。
シリンジでは1回押しで0.5〜1mlを頬の内側へ入れ、数呼吸待つ、を繰り返します。
1セッションの上限目安は小柄な猫で10〜20ml、標準体格で20〜30ml、大柄で30〜40mlです。
嫌がりや咳が出たら直ちに中止し、時間を空けます。

体重とRERから導くカロリー目安

基礎となるのは安静時エネルギー要求量RERです。
RERは70×体重kgの0.75乗で求め、当面の目標はおおむねRER〜1.2×RERです。
回復期や体重増加が必要な場合は1.2〜1.4×RERを獣医師と相談して設定します。
肥満の猫は過剰給餌を避け0.8〜1.0×RERを目安にします。

一回量のミリリットル換算の例

回復期リキッドのエネルギー密度が1.0kcal/mlなら、必要カロリーがそのまま必要mlです。
1.2kcal/mlなら必要mlはカロリー÷1.2となり量を減らせます。
1日の回数を6回にすれば、一回量は1日必要ml÷6です。
ただし初日はその25〜33%から開始します。

子猫と高齢猫の調整ポイント

子猫は低血糖リスクが高いため少量高頻度が原則です。
2〜3時間おきの給餌を検討し、体温低下がある場合は先に保温を十分に行います。
高齢猫や慢性腎臓病では水分摂取を優先し、粘度はやや低めに、電解質バランスやリン量に配慮します。

体重別の目安量とカロリー計算

以下は代表体重のRERと、エネルギー密度1.0と1.2kcal/mlでの必要量、さらに1日6回に分けた場合の一回量の目安です。
初日はこの25〜33%から開始し、猫の反応を見ながら段階的に増やしてください。

体重 RER kcal/日 必要ml/日
1.0kcal/ml
必要ml/日
1.2kcal/ml
一回ml(6回)
1.0kcal/ml
一回ml(6回)
1.2kcal/ml
2kg 約118 約118 約98 約20 約16
3kg 約160 約160 約133 約27 約22
4kg 約198 約198 約165 約33 約28
5kg 約234 約234 約195 約39 約33

表の一回量は最大側の目安であり、1セッションをさらに複数の小押しに分けることが安全です。
吐き気が強い時や小柄な猫では1回あたり5〜10mlから開始し、回数を増やして総量を確保します。

低栄養や肥満時の補正

痩せが進んだ猫では再栄養症候群予防のため、開始量は25%以下に抑え、リンやカリウムの変動に注意します。
肥満の猫は急な満量給餌で肝リピドーシスを悪化させる懸念があるため、総カロリーはRER程度にとどめ、長期での体重調整を計画します。

食物アレルギーや療法食中の計算

療法食を流動化して用いる場合は、製品のエネルギー密度を確認し同様に換算します。
アレルギーや消化器疾患では原材料の変更が症状を悪化させることがあるため、必ず処方方針に合わせます。

手順と姿勢、安全な与え方のコツ

安全な手技は一回の量よりも重要です。
正しい姿勢、適切な粘度、口腔内の投与位置が誤嚥を防ぎ、ストレスも軽減します。

安全な体位と固定

猫を胸を下にしたスフィンクス姿勢にし、頭を上げすぎないようにします。
喉を反らせると誤嚥しやすくなるため避けます。
タオルで優しく包み前肢を落ち着かせると安全です。

シリンジの角度と入れ方

シリンジの先端は前歯の隙間から頬の内側へ向け、舌の付け根に直接当てないようにします。
0.5〜1mlずつ、飲み込むのを待ちながらゆっくり投与します。
咳や鼻からの逆流があれば即中止します。

温度と粘度の調整

与える前に人肌よりやや温かい38℃前後に調温すると胃の受け入れが良くなります。
冷たすぎると胃痙攣を起こすことがあります。
粘度はシリンジで詰まらない程度に調整し、水や湯で適宜薄めます。

強制給餌の安全三原則

  • 体位は頭を高くしすぎない横向き気味か胸を下に
  • 少量ずつ、飲み込みを確認して次へ進む
  • 嫌がったら中断して回数で稼ぐ

回数と間隔の組み立て方と24時間のプラン例

胃の許容量と吐き気の程度に合わせ、少量多回数が基本です。
目標カロリーを6〜8回に分け、夜間は可能な範囲で間隔を延ばします。
血糖が不安定な子猫や重度の消耗では夜間も少量を維持します。

開始時の回数と増やし方

初日は4〜8回の範囲で、猫の受け入れやすい回数を選びます。
吐き気がある場合は回数を増やし一回量を減らします。
2日目以降、同じ回数のまま一回量を増やすか、回数を減らして一回量をやや増やすかを調整します。

24時間スケジュール例

例 標準的な6回給餌の目安。
7時、11時、15時、19時、23時、3時の6回。
各回は5〜15分かけて少量ずつ投与します。
初日は総量の25〜33%に設定し、2〜3日で50〜66%、4〜5日で100%へ増やします。

夜間の対応と低血糖予防

夜間の長時間空腹は吐き気や逆流性胃炎を悪化させることがあります。
可能なら就寝前と早朝に少量を追加します。
子猫では4時間以上空けない運用が望ましいです。

病気別の注意点

基礎疾患によって目標カロリー、栄養組成、進め方が異なります。
以下は代表的な病態の要点です。

肝リピドーシス

数日〜数週間の食欲不振で発症しやすく、迅速な栄養介入が回復率を左右します。
無理な経口投与で吐き気が強い場合は経鼻食道チューブの検討が安全です。
脂質は極端に制限せず、必要カロリーの達成を優先します。

慢性腎臓病

脱水の是正と水分管理を優先し、粘度は低めに設定します。
リン摂取は総量を抑え、療法食の方針に従います。
吐き気が出やすいため、より少量多回数で進めます。

膵炎

少量高頻度が基本で、脂肪負荷を控えめにします。
痛みや吐き気のコントロールが不十分な時は経口強制を控え、支持療法を優先します。

口内炎や上部気道炎

口腔痛が強い場合は温度を上げ、粘度を下げ、刺激の少ない処方にします。
痛み止めの適切な使用が前提で、無理な経口投与は逆効果です。

吐く、下痢、嫌がる時の対処とリスク管理

副反応が出た場合は量と回数の再調整が必要です。
一時中断、保温、水分補給、間隔延長などを組み合わせて安全に再開します。

吐出・誤嚥を防ぐコツ

体を横向き気味にし、頭を高くしすぎないこと。
押し出しは超少量で、嚥下を確認してから次を入れます。
投与後すぐに激しい運動をさせないようにします。

吐いた時の中止と再開の目安

嘔吐があればその回は中止し、1〜3時間は様子をみます。
次回は量を半分以下に減らし、間隔を延ばします。
連続して吐く、血が混じる、ぐったりする場合は受診が必要です。

下痢・便秘の対応

急な増量や高浸透圧で下痢が起きやすくなります。
濃度を下げる、量を減らして回数を増やす、水分を調整するなどで対応します。
便秘が続く場合は水分量の増加や粘度調整を行い、必要に応じて獣医師に相談します。

嫌がる猫のストレス軽減

短時間で終える、小休止をはさむ、落ち着く匂いのタオルを使うなどが有効です。
一人が保定し他方が投与する二人体制の方が安全です。

獣医に相談すべきサインと受診前の記録

強制給餌は応急処置であり、原因治療と併走する必要があります。
以下のサインがあれば受診を急いでください。

すぐ受診すべき症状

連続する嘔吐や黒色便、黄色い吐出、呼吸が荒い、体温低下や高熱、極端な無気力、黄疸や急な体重減少など。
誤嚥が疑われる咳や呼吸音の変化も緊急度が高い所見です。

受診前に記録すると良い項目

体重、与えた量と時間、吐き気や下痢の回数、尿量、水を飲む量、使用した食品名と濃度、体温や呼吸数など。
客観的な記録は診断と調整の近道になります。

口からの強制給餌を避けるべきケース

重度の吐き気、意識レベル低下、重度の口腔痛や咽頭痛、誤嚥性肺炎の既往などは経口強制を避け、経鼻食道チューブや食道チューブなどの代替ルートを検討します。

準備する道具と衛生管理、保管方法

道具と衛生は成功率と安全性を左右します。
詰まりや汚染を防ぐ準備を整えましょう。

必須アイテム一覧

  • シリンジ 1ml、5ml、10ml、20mlなど複数サイズ
  • シリンジ先端に装着できる柔らかいチューブやアダプタ
  • 計量カップ、キッチンスケール、温度計
  • エプロン、タオル、保定用ブランケット
  • 消毒用アルコール、洗浄ブラシ、清潔な保存容器

作り置きと保存、温め方

作り置きは冷蔵で24時間以内を目安にし、使用前に人肌程度へ湯せんで温めます。
電子レンジは温度ムラが出るため撹拌と再計測を徹底します。
一度猫に触れた残液は再利用しません。

洗浄・消毒と交換頻度

使用後すぐに分解洗浄し、乾燥させます。
シリンジ類は劣化や刻印消えが出たら交換します。
先端チューブはひび割れや臭いがついたら早めに交換します。

現場で役立つ小ワザ

  • とろみは茶こしでダマを除去して詰まりを予防
  • 計量はカロリー表示を必ずmlに換算してから配分
  • 与える直前に軽く撹拌し濃度ムラをなくす

よくある質問Q&A

現場で頻出する疑問を簡潔にまとめます。

どのくらいの期間続けますか

原因疾患の治療と食欲回復が進むまでです。
目安として自発的に必要量の75%以上を安定して食べられるようになれば段階的に中止を検討します。

水は別に与えるべきですか

はい。
流動食に含まれる水分だけでは不足することが多く、別途少量ずつの給水が有効です。
腎臓病では特に重要です。

サプリや整腸剤は一緒に混ぜても良いですか

混和で粘度や味が変わり拒否につながることがあります。
原則は事前に溶いて別投与、または獣医師の指示に従います。

シリンジを噛んで壊してしまいます

先端に柔らかいチューブを装着する、側面から素早く入れる、サイズを小さくする、保定を見直すなどで改善します。
無理に口をこじ開けないようにします。

まとめ

一回の量は体重とエネルギー密度、回数の掛け算で決まり、初日は総量の25〜33%から、少量多回数で安全に開始します。
RERを基準に体重別の必要量を算出し、1.0〜1.2kcal/mlの濃度でml換算すると具体的な運用に落とし込めます。
安全な体位と手技、適温と粘度の調整、吐き気や下痢への迅速な対応が成功の鍵です。

肝リピドーシスや腎臓病、膵炎など病態に応じた配慮が不可欠で、強い吐き気や誤嚥リスクがある時は経鼻食道チューブなど非経口の選択肢も検討します。
迷ったら早めに獣医師へ相談し、与えた量や症状の記録を共有してください。
正確な計算と丁寧な手技で、猫の回復力を最大限に引き出しましょう。

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